
家のことは、分からないことが多いものです。
「今年の冬は暖冬らしいから、雪の心配はしなくていい?」
「新築の打ち合わせで、雪のことはどこまで話しておけばいいんだろう」
「屋根の形や駐車場の位置って、雪で変わるものなの?」
「去年みたいな大雪が、また来たらどうしよう」
今工務所が、五所川原・青森・弘前・つがるで家づくりに携わってきた経験をもとに、できるだけ分かりやすく解説します。
今回のテーマは、「暖冬・少雪予想の冬と、雪に備える家の設計」です。

この冬は「暖冬・少雪」の予想が出ています
まず、全国の見通しからです。
気象庁の寒候期予報をもとにした日本気象協会の解説(tenki.jp、2026年10月18日)では、この冬は暖冬傾向と伝えられています。
東日本・西日本の日本海側では、降雪量が平年より少ない見込みとされています。
背景にあるのが、エルニーニョ現象です。
同じ記事では、現在のエルニーニョ現象は過去最大の強さとなっており、冬にかけて続く見込みだと説明されています。
ただし、この記事にはもうひとつ、大事なことが書かれています。
暖冬でも、低気圧が通過したあとに強い寒気が流れ込むことがあり、普段は雪が少ない地域でも大雪に注意が必要だという点です。
つまり「シーズン全体の雪は少なめ」と「一度にどさっと降る日がある」は、同時に起こりうるということです。
家づくりで考えなければいけないのは、後者のほうです。
青森県では、去年の冬に何が起きていたか
ここで、去年の冬を振り返ってみます。
青森県豪雪対策本部の「令和8年豪雪に係る被害状況等(第4報)」(令和8年2月3日9時時点)によると、積雪深はこうなっていました。
青森市176cm(平年比255%)。
弘前市129cm(平年比219%)。
五所川原143cm(平年比247%)。
平年の2.5倍近い雪が積もっていた、ということです。
同じ資料には、五所川原の「警戒積雪深」は110cmと書かれています。
143cmは、その警戒の目安を30cm以上超えていた数字です。
被害も出ました。
同資料の時点で、人的被害は県全体で134名(死亡5名、重傷36名、軽傷93名)。
災害救助法の適用は、1月29日時点の14市町村から、2月2日には21市町村まで広がりました。
その多くは、屋根の雪下ろしや除雪作業に関わるものです。
そして、去年の冬は「暖冬予想」ではありませんでしたが、ここで覚えておきたいのは順番です。
予想は予想であり、実際に家にのしかかるのは、その年の一番多かった日の雪だということです。
五所川原・津軽で、少雪予想の冬こそ起きやすいこと
では、津軽で家を建てるとき、何を考えておけばいいのでしょうか。
結論から言うと、設計は「平年の雪」ではなく「多い年の雪」で考えておくということです。
理由は単純です。
雪が少ない冬は、たしかに除雪は楽になります。
ただ、家の形や配置は、あとから変えられません。
屋根の勾配と向き、玄関の位置、駐車場の広さ、雪を置く場所。
これらは図面の段階で決まってしまい、十年後の大雪の年に効いてきます。
新築のご相談でよく出てくるのが、この「雪の置き場」の話です。
敷地にどれだけ雪を置けるかは、間取りよりも先に決まる条件です。
家と車と物置を気持ちよく配置していくと、雪を寄せる余地が最後に残らない、ということが起こります。
さらに、自分の家から出た雪だけではありません。
道路の除雪で、間口に雪が寄せられます。
朝、車を出す前にそこを崩す作業が、冬のあいだ毎日続きます。
玄関まわりも同じです。
外開きのドアの前に雪が溜まると、内側から押しても開きません。
風除室や庇の有無、ドアの向き、アプローチの幅で、ここは大きく変わります。
屋根からの落雪も、設計の話です。
落ちる前提でその下を空けておくのか、落ちない形にして載せたまま耐えるのか。
どちらも成り立ちますが、途中で混ざると困ります。
落雪する屋根の下に、カーポートや給湯器、エアコンの室外機、物置、隣地境界があると、毎年の悩みになります。
平屋を選ばれる方が増えているのは、ここにも理由があります。
屋根に上がらずに雪の様子を確認しやすく、二階からの落雪の心配もありません。
そのぶん、同じ床面積なら屋根と基礎は大きくなります。
雪の面積が増えるということでもあるので、屋根の形と雪の落とし先は、より丁寧に決める必要があります。

駐車場については、以前こちらの記事でも詳しく書いています。
窓の計画も、雪と関係があります。
大きな窓は明るく気持ちがいいものですが、掃き出し窓の外側に雪が積もると、そこは出入りに使えなくなります。
→ 青森の新築、「大きな窓」が正解とは限らない。暮らしから考える窓の話
断熱や耐震の考え方は、こちらにまとめています。

今工務所からの提案:図面のうちに決めておきたい雪のこと
打ち合わせのときに、確認しておくと後が楽になる項目を並べます。
保存しておいて、他社さんとの打ち合わせで使っていただいても構いません。
・敷地のどこに、何メートル四方の雪を置くか(図面に書き込んでみる)
・間口の除雪はどこへ寄せるか。道路除雪の雪が寄る位置はどこか
・屋根は落とすのか、載せるのか。落とすなら、その下に何も置かない幅を取れているか
・玄関ドアの開き方向。風除室や庇があるか。外から雪で塞がれない形になっているか
・給湯器、室外機、ガスや灯油のタンク、換気の給排気口が、落雪や吹き溜まりの位置にないか
・カーポートを後から建てる予定があるなら、その場所を今の配置で確保できているか
・冬に車が入る動線で、朝いちばんに雪を崩す距離はどれくらいになるか
・屋根に上がらずに点検できる形か。上がる必要があるなら、どこからどう上がるか
・隣の家との間に、雪が溜まったまま春まで残る隙間ができていないか
費用の目安についても触れておきます。
風除室や庇の追加、カーポートの基礎を見込んでおく、屋根の形を変える。
こうした雪まわりの調整は、設計の段階なら数十万円規模で収まることが多く、建ててから直すと足場や外壁の手直しが絡んで、それ以上になりやすいところです。
※参考価格です。現地の状況や仕様によって変わります。
今工務所は、自社の一級建築士が設計し、自社の大工が施工しています。
設計の人間と施工する人間が同じ会社にいるので、「この屋根だと、ここに雪が溜まる」という話を図面の段階で持ち寄れます。
雪の相談は、土地を決める前のほうが選べる幅が広くなります。

このまちで、これからも暮らすために。
雪は、この土地で暮らすことの一部です。
なくなるものではないし、なくす必要もないものだと思っています。
ただ、毎年の冬が少し楽になる家は、つくれます。
それは高い設備を入れることではなく、図面のうちに雪の居場所を決めておくことだったりします。
私たちは、この地域で65年、家を建ててきました。
建てたあとの冬を、何度も見てきました。
五所川原。青森。弘前。つがる。
そこから一緒に考えてみませんか。
今工務所は五所川原市を拠点に、五所川原・青森・弘前・つがるを施工対応エリアとして、土地探しから設計・施工・リフォーム・アフターまで一貫して対応しています。



