
家のことは、分からないことが多いものです。
「中古住宅って、結局は築年数で値段が決まるんでしょう?」
「直してから売ったほうがいいのか、そのまま売ったほうがいいのか分からない」
「安い中古を買ってリフォームするのと、新築とでは、どっちが得なんですか」
「親の家を相続したけれど、いくらになるのか見当もつかない」
今工務所が、五所川原・青森・弘前・つがるで家づくりに携わってきた経験をもとに、できるだけ分かりやすく解説します。
今回のテーマは、「中古住宅の値段の決まり方が、国の制度から変わりはじめた」です。

国が「手入れした家を、高く評価する」制度をつくりはじめました
2026年10月、国土交通省が「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の初会合を開きました。
報じたのは住宅産業新聞(2026年10月27日)です。
ねらいは、はっきりしています。
手入れをしてきた家が、きちんと値段に反映される市場をつくること。
検討されているのは、大きく3つだと紹介されています。
ひとつ目は、建物の状態調査(インスペクション)や既存住宅の保険を使って、維持管理の状況を売買価格や住宅ローンなどの金融商品に反映させること。
ふたつ目は、点検や修繕の基準をはっきりさせて、手入れを続けていることを客観的に評価・認証する仕組みをつくること。
3つ目は、設計図書・点検記録・リフォーム履歴を「住宅履歴」として残し、売るときに次の人へ引き継げるようにすること。
同じ記事では、既存住宅の取引が市場全体の約4割まで増えてきたことが背景として挙げられています。
提言は2027年3月にまとめられる予定だと報じられています。
あわせて、住宅生産団体連合会が2026年8月に出した「住生活産業ビジョンVer.2026」では、「住宅検査登録制度(仮称)」という案が示されています。
車の車検にあたるものを、家にもつくろうという考え方です。
制度はまだ検討の段階ですから、いつ、どんな形で始まるかは決まっていません。
ただ、向かっている方向は読み取れます。
これまで「築◯年」でほぼ決まっていた中古住宅の値段に、「どう手入れしてきたか」という軸が足されようとしています。
青森県の地価は35年連続で下落。でも平均価格は4年連続で上がっています
では、青森県の足元はどうなっているでしょうか。
青森県が2026年9月15日に公表した基準地価(同年7月1日時点)では、全用途の平均変動率がマイナス0.4%でした。
1992年以降、35年連続の下落です(東奥日報/2026年9月16日)。
ここだけ読むと、ひたすら下がり続けているように見えます。
ところが同じ発表のなかに、逆を向いた数字があります。
1平方メートルあたりの平均価格は2万300円で、前年より400円上がりました。
上昇は4年連続で、2万円台に戻ったのは2016年以来だと報じられています。
変動率はマイナス、平均価格はプラス。
売れる場所と売れない場所の差が広がって、取引のある土地に値段が寄っている、ということだと思います。
記事では、大きな再開発の動きがなかったこと、人口減少、そして建築費の高騰が背景として挙げられています。
この「建築費の高騰」が、中古住宅の話に直結します。

五所川原・津軽では、同じ築年数でも中身がまったく違います
私たちが津軽で中古住宅を見てきて、いちばん実感しているのはここです。
「築30年」と書かれた家が2軒あっても、中身は別物です。
雪と寒さと凍結のある土地では、手入れをした家としていない家の差が、はっきり出ます。
床をはがすと、傷んでいる場所はだいたい似ています。
北側の水まわりの床下、玄関まわり、そして雪が溜まる側の外壁の足元です。
逆に、屋根と雨樋を替えてきた家は、築年数が古くても構造がしっかり残っていることが多いです。
大工に言わせれば「屋根にお金をかけてきた家は、だいたい大丈夫」。
ところが、この「屋根を20年前に葺き替えた」という事実は、売るときの価格にほとんど乗ってきませんでした。
記録が残っていないからです。
国の検討会が住宅履歴の話をしているのは、まさにここだと思います。
そしてもうひとつ、津軽で中古を考えるときに外せないのが「建築費と土地代のバランス」です。
先日ご紹介した五所川原市一ツ谷の売地は、65.23坪で710万円。坪あたり約10.9万円です。
すぐ隣の角地は65.02坪で780万円、坪あたり約12.0万円でした。
土地はこの水準です。一方で建物の工事費は、ここ数年で上がり続けています。
つまり、家を持つ総額のうち、建物が占める割合が大きくなっているということです。
だから「状態のいい中古を買って、必要なところだけ直す」という選び方の価値が、以前より上がっています。
逆に、状態の悪い家を安いというだけで買うと、工事費が上がっているぶん、あとの負担が大きくなります。
中古住宅を見に行くとき、確認していただきたいのは次の4つです。
- 屋根と雨樋をいつ替えたか。替えた記録(見積書・写真)が残っているか
- 窓は何枚ガラスか。北側と水まわりの窓はどうなっているか
- 床下と小屋裏をのぞけるか。のぞかせてもらえない場合は、理由を聞く
- 雪を寄せる場所が敷地の中に残るか。屋根の雪が落ちる先に何があるか
この4つは、見学の場で聞けば答えが返ってくることです。
そして、どれも「あとから直すと高くつく」順に並べています。

今工務所は、買う前の段階からご一緒します
私たちがお手伝いできることは、3つあります。
1つ目は、買う前の同行です。
気になる中古住宅があれば、契約の前に自社の一級建築士と大工が一緒に見に行きます。
「この家は直せる家か」「直すとしたら、どこからか」を、その場でお伝えします。
2つ目は、購入と工事を総額で考えることです。
当社の「リセット住宅」は、傷んだところを直すだけでなく、断熱と間取りまでまとめて作り直す大型リフォームです。
工事の規模によって幅があり、断熱改修を含む大型リフォームは数百万円から、全面的なものでは1,000万円を超えることもあります。
※参考価格です。現地の状況・建物の状態・工事範囲によって変わります。
土地と建物を別々に考えるのではなく、「買う金額+直す金額+入居後の光熱費」で比べていただくのが確実です。
3つ目は、記録を残すことです。
当社で工事をした家には、どこに何をしたかが残ります。
いまはご自身のための記録ですが、国の制度が動けば、将来売るときの値段を支える材料になります。
お子さんに引き継ぐ場合も同じです。

今週ご紹介した土地と、関連するコラムもあわせてご覧ください。
→ 【今週の物件】五所川原市一ツ谷の売地 65.23坪/710万円
→ 2026年10月のフラット35は3.830%|五所川原で新築と中古改修の総額を比べる
→ 空き家の3,000万円控除|延長要望と相続した実家の進め方
このまちで、これからも暮らすために。
空き家も、売りに出る家も、これから増えていきます。
そのなかには、まだ十分に住める家がたくさんあります。
手入れをしてきた家が、きちんと評価される。
そういう仕組みができれば、このまちの家は長く使われていきます。
私たちは創業65年、このまちで家をつくり、直してきました。
だから、残せる家と、残すのが難しい家の見分けがつきます。
五所川原。青森。弘前。つがる。
そこから一緒に考えてみませんか。
今工務所は五所川原市を拠点に、五所川原・青森・弘前・つがるを施工対応エリアとして、土地探しから設計・施工・リフォーム・アフターまで一貫して対応しています。



