コラム
新築
2026/09/20
青森の新築、照明は「明るければOK」ではない。夜の間取りを考える

家のことは、分からないことが多いものです。
「LDKってダウンライト何個必要?」
「暗くならないように、たくさん付けた方がいい?」
「ペンダントライトはどこが正解?」
「寝室も明るい方がいい?」
今工務所が、五所川原・青森・弘前・つがるで家づくりに携わってきた経験をもとに、できるだけ分かりやすく解説します。
今回のテーマは、「照明」です。
家づくりの打ち合わせでは、間取り。キッチン。床。壁。収納。窓。と順番に決めていきます。そして最後の方になって、「では照明を決めましょう」となることがあります。
でも私たちは、照明も間取りの一部だと考えています。なぜなら、家は昼間だけ使うものではないからです。
特に青森の冬。仕事から帰るころには外が暗い。雪の日もある。玄関を開ける。照明をつける。家族が集まる。夕食を食べる。お風呂に入る。そして眠る。
冬の暮らしを想像すると、家を見る時間のかなりの部分が「照明をつけた家」になるのです。
だから今回は、「何個つける?」ではなく、「夜、この家族はどう暮らす?」から照明を考えてみます。
図面を一度「夜」にしてみる
間取り図を見るとき。そこには太陽があります。窓から光が入って、明るいLDKを想像します。
でも、その図面を一度、午後6時にしてみてください。
外は暗い。家族が帰ってくる。玄関。廊下。LDK。キッチン。ダイニング。洗面。それぞれで照明を使います。
ここで初めて、「ソファでテレビを見るとき、この光はまぶしくない?」「ダイニングテーブルの真上に照明が来ている?」「キッチンで自分の影が手元に落ちない?」ということが見えてきます。
照明計画は、昼の図面に器具を置く作業ではありません。夜の生活を図面へ書き込む作業です。
「部屋を明るくする」から一度離れてみる
照明というと、「何畳用ですか?」「何ルーメンですか?」という話になりがちです。もちろん必要な明るさは重要です。
でも家で実際に明るくしたいのは、部屋全体でしょうか?
例えばキッチン。必要なのは、床を明るくすることより、包丁を使う手元。料理。シンク。ですよね。
ダイニングなら、テーブル。料理。家族の顔。リビングなら、本を読む場所。テレビ周辺。くつろぐ場所。
つまり、「部屋を照らす」から「人が何をしている場所を照らす」へ。この発想に変えると、照明計画がかなり分かりやすくなります。

ダウンライトを並べれば正解?
新築住宅ではダウンライトを使うことも多くあります。天井がすっきりして見える。掃除もしやすい。空間を邪魔しにくい。便利な照明です。
でも、とりあえず均等に並べればいいとは限りません。
例えば、ソファへ座ったとき。真上に強い光がある。寝転んだらまぶしい。テレビ画面へ光が映り込む。ダイニングテーブルを少し移動したら、照明の位置が合わなくなった。こうしたことも考えられます。
だから照明を決める前に、家具を置きます。ソファ。テレビ。ダイニングテーブル。ベッド。机。そして、「ここに人が座る」まで考える。
これは窓の計画とも同じです。窓も照明も、家具のない図面だけで決めない。ここがポイントです。
無垢材の家は「光で表情が変わる」
今工務所の家づくりで大切にしているものの一つが、天然無垢材です。特許乾燥技術を用いた無垢材やヒバの土台など、素材そのものにこだわっています。
木は、光によって見え方が変わります。昼の自然光。夕方。夜の照明。同じ床でも表情が違います。
例えば壁や床へ直接強い光を当てるのか。柔らかく光を回すのか。木目を見せるのか。陰影を残すのか。
照明器具そのものを目立たせる方法もあれば、照明器具は見せず、木だけを照らす方法もあります。
せっかく無垢材を使うなら、「床材を選んで終わり」ではなく、夜、その木がどう見えるかまで考えてみる。これも木の家の楽しみ方です。
モデルハウスは「夜」に見ると違います
住宅展示場は昼に見る方が多いと思います。でも照明を考えるなら、夕方〜夜の見学にも意味があります。
今工務所の「木のひらや」常設展示場は、五所川原市唐笠柳で完全無人・24時間セルフ見学に対応しています。スマートフォンから予約して、自分たちの都合のよい時間に見学できます。
昼とは違う、無垢材。LDK。窓。照明。の見え方を体感してみてください。
青森なら「玄関の外」も照明計画
家の照明というと、室内ばかり考えます。でも青森では、駐車場から玄関までも重要です。
冬。夕方。雪が降っている。仕事から帰る。車から降りる。買い物袋を持つ。子どもも一緒。足元には雪。
このとき必要なのは、「外観をきれいに見せる照明」だけではありません。足元。段差。玄関鍵。アプローチ。こうした場所を確認できる光も必要です。
つまり外部照明も、外観デザイン+生活動線で考えます。
車を停める。玄関まで歩く。家へ入る。ここまでが帰宅動線。照明はその動線に沿って考えます。
平屋は「一つの大空間」をどう照らすか
今工務所が展開する「木のひらや」のような平屋では、LDKを中心に家族の居場所がつながるプランも考えられます。
そこで考えたいのが、全部を同じ明るさにする必要がある?ということです。
夕食中。キッチンとダイニングはしっかり明るく。食事が終わる。リビングへ移動。テレビを見る。少し照明を落とす。子どもが寝る。夫婦で過ごす。さらに落ち着いた光にする。
同じLDKでも、時間によって必要な光は変わります。
だから、全部ON。全部OFF。だけではなく、場所ごとに分ける。調光する。間接照明を使う。必要なところだけ点灯する。など、暮らし方に合わせて考えます。

スイッチは「どこに付ける?」より「いつ押す?」
照明計画で忘れやすいのが、スイッチです。玄関。廊下。LDK。寝室。
照明器具を決めても、操作しにくければ毎日の小さなストレスになります。
例えば寝室。入口で照明をつける。ベッドへ行く。寝ようとする。「あ、消さないと」毎日入口まで戻る?
もちろん現在はさまざまな操作方法がありますが、大切なのは、「どこにスイッチを付ける?」ではなく、「いつ、どこで操作する?」から考えることです。
電気図面だけを見るのではなく、人を歩かせる。朝起きる。帰宅する。料理する。寝る。その動きにスイッチを重ねます。
寝室はホテルくらい暗くてもいい?
寝室の照明も、「6畳だからこの照明」だけで決める必要はありません。
寝室で何をしますか?本を読む?スマートフォンを見る?着替える?化粧をする?基本的には寝るだけ?
用途によって必要な光が変わります。寝る直前まで天井全体を明るくする必要がない家庭もあります。ベッド周りだけ。壁面だけ。足元だけ。という考え方もできます。
一方で、掃除。着替え。物を探す。ときには明るさが欲しい。だから、「明るいか暗いか」ではなく「使い分けられるか」。これを考えます。
子どもが小さい今だけで決めない
新築時。子どもは5歳。10年後。15歳。生活時間は変わります。
小さい頃は家族みんなでLDK。成長すれば、子どもは勉強。親はテレビ。誰かはキッチン。同じ空間で別々のことをする時間が増えるかもしれません。
だから照明も、家族全員が同じことをしている前提だけで決めない。必要な場所だけ照らせる。家具配置を変えても使える。そんな余白を考えることもできます。
「おしゃれな照明」ほど施工前に相談してほしい
SNSで見つけた、素敵なペンダントライト。間接照明。壁を照らすライト。「これを付けたい」大歓迎です。
ただし、完成してからでは難しいことがあります。下地。配線。電源。スイッチ。天井形状。壁の納まり。器具の重量。など、施工前に準備が必要になるケースがあるからです。
今工務所は、一級建築士が在籍し、設計と実際の施工を一体で考えることを家づくりの特徴としています。また品質確保のため年間施工棟数を20棟までに制限しています。
照明も、設計者が線を引いて、大工や電気工事業者が現場でつくるもの。だから、好きな照明写真を見つけたら保存してください。そして打ち合わせで、「こんな感じが好き」と見せてください。その写真も立派な設計資料になります。
完成前に「夜の家」を頭の中で歩いてみる
照明計画ができたら、最後に図面を見ながら、一度家の中を歩いてみます。
午後6時。車で帰宅。外は暗い。玄関へ行く。ドアを開ける。上着を脱ぐ。LDKへ。料理をする。夕食。テレビ。お風呂。寝室。照明を消す。
その間に、何回スイッチを押しましたか?まぶしい場所は?暗い場所は?照明をつけっぱなしにしそうな場所は?
これを家族で話してみる。すると照明器具のカタログを眺めているだけでは見えなかったものが見えてきます。
このまちで、これからも暮らすために。
家づくりでは、明るいLDK。大きな窓。きれいな無垢床。素敵なキッチン。を考えます。
でも冬の青森で暮らしていると、夕方には照明をつけ、家族が家の中で過ごす時間も長くなります。
夕食を食べる。テレビを見る。子どもが宿題をする。お風呂に入る。そして、少しずつ照明を消していく。それも家です。
だから今工務所は、「照明を何個付ける?」だけではなく、「この家族は夜、この家でどう過ごす?」から考えたい。
五所川原。青森。弘前。つがる。
雪の降る夕方に、家へ帰ってきたとき。窓から暖かい光が見える。玄関まで足元が見える。ドアを開ける。無垢材の床に柔らかい光が落ちている。そして、「帰ってきたな」と思える。
そんなところまで、家づくりでは考えていいと思います。
次に間取りを見るとき、一度だけ、その図面を「夜」にしてみませんか?















