コラム
リフォーム
新築
2026/09/21
青森の家に太陽光は「アリ」か?県の共同購入(12/3まで)の前に、雪国で考えたい順番

青森県が「みんなのおうちに太陽光(住宅用太陽光発電設備等共同購入事業)」の参加登録を受け付けています。令和8年度は2026年4月14日から12月3日までが受付期間で、登録そのものは無料。太陽光パネル単体、パネル+蓄電池、蓄電池のみの3プランから選べ、エコキュートやV2Hをオプションで付けることもできます。
新聞やチラシでご覧になって「うちも載せたほうがいいのかな」と考え始めた方も多いと思います。実際、9月に入ってから当社にも屋根まわりのご相談が増えてきました。
ただ、津軽で家を建て、直してきた工務店として正直に申し上げると、青森の家では「太陽光を載せるかどうか」より先に決めるべきことがあります。 今回はそこを中心に、営業トーク抜きでお話しします。
五所川原・つがる・弘前・青森市で、無垢の木の家と暮らしを考える今工務所です。創業65年、この土地の気候と暮らし方をずっと見てきた工務店として、家づくり・リフォームのご相談でよく出てくる疑問を、包み隠さずお話ししています。
結論から:太陽光より先に「断熱」です
理由は単純で、青森の住宅で一番お金が出ていくのは「暖房」だからです。
太陽光は電気を「つくる」設備です。一方で断熱は、そもそも必要なエネルギーを「減らす」工事です。
ざっくり言えば、穴の開いたバケツに水を足すのが太陽光、穴をふさぐのが断熱。順番としては、先に穴をふさいだほうが確実に効きます。
しかも断熱は、光熱費だけでなく「冬の家の快適さ」そのものを変えます。朝起きたときの廊下の寒さ、脱衣所のヒヤッとする感じ、窓際のひんやりした空気。太陽光を何kW載せても、これらは一切変わりません。

青森の冬、太陽光はどうしても不利です
太陽光発電は、日射量と、パネルが雪に覆われていないことが前提の設備です。
津軽の冬は、この両方が厳しくなります。日照時間が短く、曇りや雪の日が続き、屋根に雪が積もればその間は発電できません。つまり、一年のうちで最も電気を使う時期に、最も発電しないという構造になっています。
これは施工の良し悪しではなく、気候の問題です。太陽光を否定しているのではありません。「夏に稼いで冬の分をまかなう」という考え方が前提になる、ということです。年間トータルで見る必要があります。
雪国の屋根は「載せられる形」かどうかが先
本州の温暖地と青森で決定的に違うのが、屋根の考え方です。
青森の家の屋根には、雪を落とす・雪を止める・雪を載せたまま耐える、といった役割がもともと組み込まれています。そこにパネルを敷くと、この設計が変わります。
実際に確認が必要になるのは、こんな点です。
屋根の勾配と向き。雪が滑りやすい勾配は、パネルを載せると滑り方が変わります。落ちる先に玄関やカーポート、隣地があると危険です。
雪止めの位置。パネルと雪止めが干渉しないか、載せたあとも雪止めが機能するか。
積雪荷重。パネルの重さは、雪の重さに上乗せされます。既存住宅なら、構造がそれを見込んでいるかの確認が要ります。
メンテナンスの動線。パネルの下は、屋根材の点検も補修もしにくくなります。屋根の葺き替え時期が近いなら、先に屋根を直してから載せるのが順当です。
「載せられるか」ではなく「載せたあと10年20年どうなるか」。ここを見ないまま決めると、後から困ります。

蓄電池は「節約」より「停電対策」で考えると分かりやすい
蓄電池は、正直に言えば費用対効果だけで元を取るのは簡単ではありません。
ただ、青森で暮らしていると、別の価値が見えてきます。冬の暴風雪による停電です。
真冬に暖房が止まると、家の中の温度はあっという間に下がります。断熱の弱い家なら数時間で危険な寒さになります。ここで「暖房を動かし続けられる電源がある」ことの意味は、電気代の話とは次元が違います。
ですので蓄電池は、光熱費ではなく保険として検討されることをおすすめします。そう考えると、判断がずいぶんすっきりします。
それでも太陽光を検討する価値はあります
ここまで慎重な話ばかりしましたが、否定しているわけではありません。
新築で、屋根の形と向きを最初から設計できる。断熱が十分に取れている。屋根が新しい。この条件がそろうなら、青森でも太陽光は十分に選択肢になります。
特に新築は有利です。パネルを載せる前提で屋根の勾配・向き・雪止め・配線ルートを決められるからです。後から載せるより、はるかに無理がありません。
県の共同購入は登録無料で、登録したからといって必ず契約する必要はありません。見積もりを取って比較材料にする、という使い方はできます。受付は2026年12月3日まで。問い合わせ先は「青森県 みんなのおうちに太陽光 事務局」(0120-723-100/平日10時〜18時)です。

順番をまちがえないために
まとめます。
1. まず断熱。窓と天井から。ここが一番効きます。
2. 次に暖房・給湯の設備。断熱が決まらないと適切な容量が決まりません。
3. そのうえで太陽光。屋根の形・向き・状態が条件に合えば。
4. 蓄電池は停電対策として。
「太陽光を載せたいんですが」とご相談をいただいたとき、当社がまず伺うのは屋根の状態と、冬の家の寒さです。順番の話をしているだけで、売りたくないわけではありません。
今工務所は青森県五所川原市の工務店です。創業65年、一級建築士が在籍し、新築(注文住宅・平屋)からリフォーム、不動産、解体までを一貫してお引き受けしています。「うちの場合はどうなんだろう」と思われたら、どうぞお気軽にご相談ください。しつこい営業は一切いたしません。
ご相談・ご見学のご予約はお問い合わせフォームから。商品はラインナップ、実例は施工事例、よくいただくご質問はFAQにまとめています。断熱まわりのご相談は内窓・断熱リフォーム、屋根の点検は屋根・外壁リフォームのページもご覧ください。















